政界を引退した小泉元首相を批判したことで、
テレビから抹殺された森田実氏のH.Pからの転載です。
働いて働いても、アメリカに吸い取られて行く日本の富。
我々の税金です。
世界でも類を見ないほどの経済発展を遂げた日本。
でも、お金はありません。
借金だらけの状態です。
前回のバブル崩壊よりも酷い今の大不況。
この世界的な不況渦へ突っ込んでいく先導役を果たしたのがこの二人。
小泉元首相・竹中元参議院議員は日本人なら行わないような行為を平気でしてしまいました。

では以下、転載です。


2007.2.25
森田実の言わねばならぬ[82]

平和・自立・調和の日本をつくるために【63】
世界の主潮流からはずれた日本――安倍晋三・石原慎太郎の「ブッシュ共和党の“戦争”路線」(その3)


アメリカ国債を売らない約束


 05年5月に発売された週刊新潮で、櫻井よしこさんは「必ず中国は、台湾を軍事的に攻める。それを跳ね返すのは、日本の軍事力だ」という趣旨のことを書きました。この主張は、アメリカは戦争ができないという見方を前提にしているように見えます。
 アメリカは、日本に国債を買わせてアメリカの財政をつないできたのですが、もう日本だけでは足りないのです。日本も2015年くらいになると、アメリカにすべて吸い取られてしまうという分析もありますが、アメリカは、中国とインドに国債をもたせて「アメリカ帝国」を維持する方針のようです。中国にたくさんのドルを持たせて、その一部を国債にさせているのです。
 2002年2月18日の日米首脳会談で、アメリカに対し「日本がもっている国債は売りません」と、小泉が約束してしまっています。日本では明らかにされていませんが、事実です。ブッシュは帰国後、興奮して「アメリカ外交の勝利だ」と言ったそうです。
 そのことを教えてくれたチェイニー副大統領のスタッフに、「小泉は『あるとき払いの催促なしでいいよ』と言ったのか」と聞いたのですが、「アメリカには、そんな曖昧な表現はありません」と言うのです。「ブッシュの報告は、どのように理解されたのか」と聞くと、「“いただいた”とアメリカ側は理解している」と言いました。
 「アメリカはただただ奪うだけではないか、ひどすぎる」と私が言うと、彼は「ブッシュは小泉に、小泉が一番ほしいものを与えています」という返事が返ってきました。それは「小泉さんには、ブッシュは日本の政治史上最も偉大なるリーダーだという誉め言葉を与えています。ブッシュが歯の浮くようなお世辞を小泉に言い続けてきたのは、400兆の金をくれたことに対するお礼なのです」と彼は言いました。日本人にとっては冗談ごとではないと思います。
 中国は、相当のアメリカ国債をもっています。アメリカが中国に対して変な行動をしたら、アメリカ国債を売り払うことができます。そうするとアメリカ国債は暴落し、アメリカはパニックに陥ります。ですからアメリカは、中国に戦争を仕掛けたりオリンピックを潰すとかはできないでしょう。中国は安全保障の目的で、アメリカ国債をもっているのです。中国が、アメリカ国債を手放せば、アメリカの経済は潰れてしまいます。「どうぞ」といって金をあげてしまった日本は、まったく愚かです。
 4月の都知事選と7月の参院選で、共和党の手先になってしまった石原と安倍を信任したなら、日本は世界の笑い者になると思います。アメリカでは、昨年11月の中間選挙で「もうブッシュはたくさんだ」という結果がでました。下院においては大差で民主党が勝利し、ブッシュは完全に潰れたのです。ブッシュ政権は、自分たちの考える政治システム、アメリカの言葉どおりいえば「アメリカの民主主義」を、力をもってでも押しつけるという力の政策です。もう1つの側面は、アメリカ共和党が推進する経済政策を、世界の基準・グローバル・スタンダードにするのだという姿勢です。
 この両方が、11月の中間選挙で否定されたのです。

 世界の方向は「社会民主主義」

 日本の新聞はまったく報道していませんが、アメリカ国内は格差が拡大して、ひどい状態が続いているのです。私は、アメリカから帰ってきた人に「日本は、郵政民営化で350兆円をアメリカのための使おうとしています。アメリカが10年間以上これを要求し続けて、ようやく実現したのです。そして次にアメリカが要求しているのは医療です。日本の医療をアメリカ的医療に変えろという要求です」と話しました。
 アメリカでは、金がなければ医者に行けないのです。17~18%の人たちは、貧しさのために健康保険証ももてないので、救急車でしか病院に入れないのです。それらの人々は死ぬか生きるかの状態になって初めて病院で診てもらうことができるのです。このため、帰ってはこられない人がたくさんいるといいます。けがをした人も、手当てが遅れて腕や足がなくなってしまうことも多いそうです。ロサンゼルスの街で目立つのは、戦後の日本でアコーディオンを弾いていた白衣の傷病兵のような人びとだそうです。
 それに対する不満も相当高じているそうです。中間選挙ではイラク政策だけではなく、共和党の市場主義も否定されたのです。市場主義は、結局強い者が勝ち、弱い者が犠牲になる弱肉強食の世界です。アメリカでもそういう状況に、みんなが耐えられなくなっているのです。
 いま、イギリスは転向を始めています。ブレアはすでにレーム・ダックです。若いキャメロン保守党党首は、党首選挙で「思いやりのある中道政治。アメリカに従属しない政治」と主張したそうです。それで、党首選に勝ったのです。本来これは、労働党が主張しなければいけない政策ですし、「思いやりのない自由主義」に対抗するスローガンです。キャメロンは党首選挙に勝ち、保守党が、昔の労働党のような政策を主張しているのです。このキャメロンはいま40%くらいの支持率だそうです。
 つい先日まで「自由主義」「市場経済」とグローバル・スタンダードを唱えていた『フィナンシャルタイムズ』や『エコノミスト』などは、ここ半年くらいの間に転向し、政府が経済過程に関与して、貧しい人たちを救済する福祉政策をとるという修正資本主義・社会民主主義の立場を主張するようになっています。福祉を行うヨーロッパか、福祉を切り捨てるアングロ・サクソンかという対立軸を比較して、福祉を行う政府のほうが犯罪は少なく、皆が将来に対して明るい希望をもって生きられるのでヨーロッパ型の方が望ましいという論調に変わってきているのです。
 アメリカでも2年後にはブッシュ政権が終わり、かなり高い確率で民主党政権に移行すると思います。民主党政権は、福祉の拡充に努め、弱者の救済に取り組むでしょう。ヨーロッパも、社会民主主義復活の方向に動いており、フランスでも社会党政権ができる可能性が高まってきています。いまこの流れから外れているのが、日本とオーストラリアです。日本は、石原慎太郎と安倍晋三で共和党路線をとっており、まさに世界から立ち遅れてしまっているのです。
 残念なことですが、東京都民は石原というとんでもない人物を英雄にしてしまいました。東京都民のもつ石原幻想をどのように打ち破っていくか、われわれはいま、真剣に考えなければならない。
 いまの東京を地方から見れば、「自分のところさえよければよい」という生き方をしています。東京だけが栄え、地方は沈んでいます。少ないパイを奪い合う陳情政治は激化しています。年末、予算編成期に役所や自民党本部や議員会館に行くと自治体の首長や助役などの幹部でいっぱいです。地方からきてホテル代に1万円を払えば、200円はホテル税として東京都に入ります。陳情政治によって、東京都にだけ金がどんどん集まってくるのです。
 最近の統計を見ても、東京都があらゆる面で経済指標がよく、2位、3位との差が大きく開きいています。もちろん東京都でも、例えば足立区のように教科書の補助を受けている家庭が40%もいるという二重構造もありますが、内閣府の調査を見ますと、東京都民の場合「よくなった家庭」が1~2%の差で「悪くなった家庭」よりも多く、ほとんどが「悪くなっている」地方とは違っています。
 その調査が正確だとすれば、半数以上の東京都民が現状に満足しているわけですから、都知事は石原のような人間でもよいということになりかねないのです。いかに東京都民の意識を変えるかが課題です。石原のようなブッシュ型の人物をまたも都知事に選ぶようなら、東京は全国民を失望させるでしょう。都政を私物化するような人物に都知事をつづけさせてはいけないのです。
 石原を倒して勝てる候補者を出さなければなりません。4月8日は、大きな勝負になるのです。
 
※以上、転載終わり。文中の太字、下線は私がつけました。